今回紹介するのは、これまでのZEROSSOのお仏壇のいくつかの定番スタイルとは、趣をやや異にする特徴的なデザインのお仏壇「天国の扉」です。4枚の板を45度で接合したシンプルな構造から、掘り込みでフォルムを整えました。左右と天の部分は、中央が窪むように波打つように彫り込んであります。しかも一つの面の手前と奥の角の高さが異なるため、うねるような面で3つの面が構成されています。言葉で表現すると何だかわからなくなりますが、写真を見て頂ければ単純な平面ではなく、うねりを含む動きのある面で構成されたフォルムであることがわかります。底板は前後左右ともに傾斜カットを施し、足は付けずにそのまま底板を土台としています。そして特徴的で目を惹くのが扉のデザインです。扉は芯材を無垢材で挟むようにして作った自家製合板で、真鍮製のヒンジで支えています。逆S字状の合わせ目のほぼ中央部に十文字のスキマが彫り込まれています。左右の扉の周囲からこのスキマに向かって盛り上がるように彫り込まれています。つまり十文字の部分が最も高くなっています。そして、このスキマに指を掛けて開けるため、十字のスキマの縁をえぐるように掘り込みが施されています。この十文字はキリスト教を意識したものではなく、あくまでモチーフとしての十文字です。左右の扉は上端にマグネットを仕込んでおり、ピタッと閉まるようになっています。本体の材は、北海道産の本桜です。緑がかった木目のラインが適当に入るのが特徴です。桜は日焼けしやすいので、今は明るいですがどんどんあめ色に変化していくと思います。そのような経年変化を楽しんで頂くのも、無垢材の家具の良さの一つです。真鍮製のヒンジも時間と共にくすみが出てきますが、これも木の変化と相まっていい感じです。磨けば光りますが、くすんだ感じも風情があります。十文字のスキマの奥の部分には、濃色のウォールナットを用いました。これにより、十文字のスキマが目立つようになり、スキマに吸い込まれるような感じがします。このデザインの特徴を更に活かすための材料の使い分けです。観音開きの扉を開けると、中には須弥壇が一つあります。固定はしておらず、置いてあるだけです。一般的には、須弥壇の上にご本尊やお位牌を置き、手前に仏具や遺品、写真などを置きます。宗派による決まりごとはそれぞれにあると思いますが、毎日気持ちよく手を合わせることができる場所であることが大切ですので、好きなものでまとめることをお勧め致します。内部の奥、須弥壇の背にあたる部分は3枚の板で構成されており、中央の板が3mm程度前に出ています。センターを意識したデザインです。この背板の反対側が、お仏壇の裏側になります。裏側も美しく仕上げてありますので、裏が見える場所に置いても大丈夫です。昔からあるような大きくて煌びやかなお仏壇は、仏間もない現代の暮らしには合わなくなってきています。しかし、お仏壇を置きたい、しかもリビングなど暮らしの身近な場所に置きたい、というご希望を多くの方が持っていることも事実です。そのような希望に応えるための、一つに選択肢としての「天国の扉」です。サイズ：幅300mm、高さ380mm、奥行き220mm 本体内寸 幅245mm、高さ280mm、奥行200mm材 料：本桜、ウォールナット（扉の芯）仕上げ：植物性ウレタンオイル仕上げ（オリオ2） 本体はうねるような面で構成されています。アンシンメトリーなデザインです。 扉中央部の十文字のスキマ。吸い込まれるような印象です。 十文字のスキマに指を掛けて開きます。 開くとこのような感じです。須弥壇が一つ置いてあります。開いた扉の曲線の合わせ目と、本体のラインが美しいです。